地球から数万光年彼方、銀河の正反対に位置するその惑星は、動物の身体を模した巨大な金属生命体と人間とが共存し、様々な形――主には兵器として――活躍する世界である。
そんな金属生命体と精神を通わせ、近頃驚異的な戦果を挙げている少女が一人。
彼女の名は、レオナ。すらりと伸びた手足はショッピングセンターに立ち並ぶマネキンたちにも決して引けを取らない絶妙な等身とバランスで成り立っており、並大抵の男どもでは横に並ぶことを思わず避けてしまいたくなるほどのプロポーションだ。
シルクのように艶やかな長い銀髪も実に神秘的で美しく、長い睫毛が落とした影によってじとりと眇められたようにも見える翠玉の双眸も、まるで宝石のようである。
顔立ちは十七歳という年相応の幼さが多分に残るあどけなさが未だ強く拭いきれずにはいたものの、男女問わず視線を惹きつけるような強烈な美貌に彩られ、体型も相俟ってかその輝きは彗星の如く実に鮮烈だ。
纏った軍服も高身長故か、実に気高く神々しい。胸元は少々小ぶりであったが、しかしそんな控えめな乳房が却って彼女のすらりとした体型と見合っており、芸術的彫刻のような均衡を保っている。
故に、衣装部も張り切り過ぎてしまったのだろう。
「これは……」
この度、彼女の挙げた戦果に対する勲章授与の式典が執り行われる運びとなったわけなのだが、出席にあたり用意された専用衣装のデザインがどうにも解せぬのだ。
決して気に入っていないという事ではない。寧ろ、授与式に相応しい華美で上質な衣装ではあるのだが――。
「……困りました」
レオナは眼下の衣装を見下ろしながら、さてどうしたものかと肩を竦めたその後、ふと脳裏に浮かんだ一人の男を内線にて密かに呼び出す事を決意したのである。
「ここ、か……」
視線の先に聳え立つその建物は、居住区には似つかわしくない重厚さ――否、威圧と言っても差支えのない物々しさを醸しながら、ただ静かに佇んでいた。
先方から予め伝えられていた手順を念入りに踏み、余計な装飾や機能性を持たないエントランスと幾つかの厳重なセキュリティーを潜り抜けてようやく辿り着いた場所はというと、これまた生活感からは到底かけ離れたあまりにも無機質で冷たい一枚の鉄扉である。
一応は人が住まう部屋だというのに、その扉の傍らには来客を告げる呼び鈴すら設置されておらず、果たしてシュンは自らの来訪をどう報せたら良いものかとしばし逡巡してしまったが、気の利いた作法など思いつくはずもなく、結局はほんの少し力を込めた拳で眼前の鉄扉を幾度か叩いてみるという古典的な方法をとるしかなかった。
「俺です、シュンです」
呼びかけると、程なくして鉄扉がほんの僅かだがゆっくりと開かれる。
「お待ちしておりました」
そう言いながら隙間から顔を覗かせたのは、同い年ながら自身の上官として隊の指揮を執る、華麗なる戦闘員――レオナの姿であった。
普段の彼女と言えば、内に秘めたる正義感は今時珍しいほどに熱く強烈だが、そういった情熱的な一面が表情や言動に現れることは滅多にない。戦闘に関しても一線を画すものがあり、元々のセンスと実践にて会得した豊富な経験は一切の隙も見せる事はなく、他人の動揺や目論見をすべて見透かしているのではないかと思わず勘ぐってしまうような下半月状の双眸で射抜かれてしまうと、どうにもばつが悪くなってしまう人間は恐らく、シュン以外にも沢山存在している事だろう。
――だが、しかし。重い鉄扉の隙間からほんの僅か姿を覗かせている彼女は、どうにも様子がおかしかった。
滅多なことでは揺らぐことのない表情はどこかぎこちなく、例の双眸は所在なさげに伏せられており、挙句、透き通るような白い頬は熱を持って紅潮していたのだ。
まさか、体調でも崩しているのだろうか。などと勘繰りながらシュンがふと視線を落としたその瞬間、常ならば自身の感情を表に出す事のない彼女がどうにも煮え切らない様子で頬を染めていたのか――説明を受けるまでもなく、事情を察してしまう。
なんと彼女は、着慣れない豪奢な衣装に身を包み、扉を盾にして小さな体躯をより一層縮めて羞恥に震えていたのだ。
「あ、あの……。レオナ、さん?」
「ああ、すみません。私ったら、自分で貴方のことを呼び出しておいて失礼でしたよね。言い訳になってしまいますが、いざこうやって袖を通してみると、恥ずかしくなってしまいました」
言いながら、彼女は意を決したように扉を押し開き、その全貌をシュンの眼前へと晒す。
「……っ」
思わず、息を呑んでしまった。
彼女の透き通るような肌、銀髪によく映える上質な純白の生地、そしてそれを縁取る金色の装飾は、纏う人間に更なる美しさと高貴さを惜しげもなく与え、実に眩しく豪奢である。
が、実のところ――シュンが思わず息を呑んだ理由は、その纏った衣装が女性の肉体をあまりにも煽情的かつ挑発的に彩っていた為だ。
胸元に臍、太腿など、男であれば確実に情欲をそそられてしまうであろう箇所が惜しげもなく外気へと曝されてしまっている。
まず目を奪われたのは、言うまでもなく胸元だ。小ぶりだが、恐らく触れたら相当滑らかな触感であろう事が容易に窺えるその場所は、未発達ゆえにどこか危なげで男の背徳を大いに煽った。勿論、女性の胸というものはある程度の大きさがあった方が良い、とシュン自身も思ってはいるのだが、神秘的ながら煽情的でもあるその控えめな胸元をこうして目の当たりにしてみると、どうしてだか今まで自身の中にあった常識が揺らぎそうになる。
極めつけは、その控えめな大きさの為に少々俯瞰で覗き込めば乳頭が拝めそうなほどに不安定な衣装と肌との絶妙な隙間である。恐らくは彼女もそれを自覚しているのだろう、先程から胸を少しばかり張ってみせたり何度か身じろぎを繰り返したり、掌でその危うい隙間を覆ってみせたりとらしくもなく落ち着きを失ってしまっていた。
乳房というものは、大きさや形の良さがすべてというわけではないのだな――などと呑気な思考に囚われつつあったシュンは慌てて気を取り直すと、今度はそんな胸元の直下で美しい稜線を描く腰回り、そして臍部へと視線を落としてみる。
露出面積が一番広い箇所は、恐らくここであろう。無駄な脂肪など微塵もない、しかしかと言って肉感が完全に失われているわけでもない、絶妙な腹部もまたシルクを想起させるような滑らかさを容易に想像させるほど瑞々しく眩しい。
小さく控えめに窪んだ臍部分も少女の危うさを掻き立てるような美しい陰影を描き、なんとも度し難い。
下腹部は他の箇所と比べて皮膚が薄い故、刺激に敏感らしいという話を唐突に思い出してしまったシュンはまたしても慌てて視線を下らせたのだが、その先に待っていたのは更なる絶景であった。
細い腰に巻き付けられていたのは、所謂プリーツスカートだ。が、それはスカートとしてほとんど役割を果たせていない程に丈が短く、どちらかといえば腰巻と称した方が適切かもしれない。
一応、下着がみだりに覗かぬようにという配慮なのだろうか、黒い前掛けのようなものが身に付けられはいたものの、果たしてそんな心もとない一枚の薄布で云わば女性が一番守らなければならない場所を守り切れるのか、甚だ疑問が残る。
そしてそんな前掛けから伸びる魅惑の太腿も当然のことながら絶品で、幼い愛らしさとそれに相反する奇妙な色香が溢れて止まない。
着飾られた彼女はさながら、世界の残酷さを知らぬ純真無垢な子兎のようであった。恐らく専用衣装としてこれを作り上げたデザイナーとやらは、レオナの魅力を十二分に理解した玄人に違いない――と、思わずシュンは感嘆を零さずにはいられなかった。
「……とりあえず、入って下さい」
自身の姿を隠すようにして再び扉の内側へと引っ込めながら、彼女はその場から動けずにいるシュンを言葉で誘い込む。
「あっ、ああ! すみません」
もしかすると、魅惑の姿に見惚れ鼻の下を伸ばしていた事を見透かされているのではと焦燥感に駆られながらも、そういえばなぜ自分は此処に呼び出されたのか、そしてなぜ彼女がこのように煽情的な姿で待ち受けていたのか、理由を未だ聞き及んでいなかった事に気が付き、ようやく本来の目的を思い出す。
仕事の話であれば通常、どこか会議室でも用意されるところなのだが、わざわざ私室に個人的な呼び出しを行ったという事は第三者に聞かせたくない込み入った話なのだろうか。
しかし、それとこの過激で可憐な衣装がどう関係してくるのか。皆目、見当もつかない。
とにかく、まずは事情を聞かねばなるまいと誘われるままシュンは部屋へと潜り込んだわけなのだが……。
廊下を先行する彼女の後姿といったら、もはや刺激的過ぎて罪に等しい。背面から覗く肌の露出もなかなかのもので、贅肉のないしなやなか背中に浮かぶ肩甲骨すら息を呑むほど艶めかしくて堪らなかった。
挙句、彼女が歩みを進めるたびに揺れるプリーツスカートもいやに劣情を煽り、妄想ばかりが駆り立てられてしまう。
もはや今の彼女に死角はない。正面だろうが、背面だろうが、恐らくは側面すら男の本能を刺激する出で立ちなのだから。
「……って、あれ?」
そんな魅惑の後姿でシュンを誘う彼女はというと、リビングらしき空間へ通じる扉の前を通り過ぎ、更にその奥、恐らくはよっぽど彼女と親しい関係を結んでいる人間以外は足を踏み入れる機会など一切与えられないであろう、寝室へと向かってしまったのだ。
なるほど、もしかするといま纏っている衣装を着替えるつもりなのだろう。残念ではないと言えば嘘になるが、そもそもの話、異性の部下と私室にこのような過激な姿で二人きりになるなど現実的に考えてありえないシチュエーションなのだ――などと密かに肩を落としていたシュンであったが、どうやらその「ありえないシチュエーション」は未だ展開の途中であったらしい事を直後に知る。
「どうぞ。生憎、ソファや椅子は用意していないのでそこに座って下さい」
なんと彼女の誘われた先は、あろうことか寝室に鎮座するベッドの上であったのだ。
上官、それも異性の寝具に腰を下ろすなど論外だと当然ながらの躊躇に苛まれたシュンであったが、しかし。ここですんなり指示に従わないとなると、それはそれで彼女を異性として意識した挙句、不埒な感情を抱いてしまった事実を白状する事にもなりかねない。
短い逡巡の末、半ば自棄のような思いで促されるままベッドに腰を下ろしたのだが――瞬間、ふいにシーツから立ち上った甘く柔らかい香りが鼻腔を擽り、たちまちシュンは理性を大きく揺さぶられてしまう。
シャンプーの香りか、はたまたシーツを洗濯する際に使用した柔軟剤の名残なのか。清潔感溢れる実に心地よい芳香であったが、現在の異様なシチュエーションと相俟ってかそれは非常に危険な匂いとなって男の性に突き刺さる。
例えシュン自身が同じシャンプーや石鹸、あるいは洗剤などを愛用したとしても同じものを纏う事は不可能であろう、女性からのみ発せられるこの香りは、どうしてこうも男の本能を大きく揺さぶるのだろうか。
嗅覚は脳神経に様々な影響を与えるという説もあるらしいが、ならば世の女性たちがその内に秘めたるこの危険な色香は、まさに雄を誘う為の所謂「フェロモン」と呼ばれるものに違いない。
などと思考の片隅で冷静な考察を繰り広げてはみたものの、腹の底からぐつぐつと煮えるような衝動が沸き上がるのを、もはやシュンは自身の意志では止められなくなっていた。
ともすれば、彼女の腕を引き、その華奢な肉体を組み敷いてしまいそうなほどに下心が膨張を始め、脳内では先ほどからあり得ない妄想ばかりが急速に膨らんでは邯鄲の夢の如し消えていく。
どうすればいい、どうすれば正気を取り戻せるのだろう。
気を紛らわせる為に視線を室内へと巡らせようとしたのだが、愚かなシュンの双眸はベッドに腰を下ろした己の眼前にて立ち尽くしている魅惑の天使――レオナの姿へとあっけなく縫い留められてしまった。
「あ……」
間近から眺め見るその姿は、あまりに美しく、あまりに性的魅力に溢れていた。慌てて視線を再び逸らしたものの、一度跳ね上がった心拍数は、もう元には戻らない。
視覚と嗅覚を一方的に刺激され、掻き立てられた下心は今にも暴発してしまいそうだった。
もしやこれは、新手の拷問訓練か何かなのかと遂には被害妄想まで膨らみ始めたその時、相変わらず頬を薄っすらと紅潮させたままであるレオナが小さく身じろぎを繰り返しながら、わざとらしくコホンと一つ咳払いを零してみせる。
「わざわざこんな所までお呼びたてしたのは、その……。貴方に、お尋ねしたいことがありまして」
羞恥心を誤魔化す為か、畏まった口調で取り繕う彼女の姿も非常にいじらしく、同時にどうしてだか酷く艶めかしくもあった。
ああ、ようやく本題に入るのかと安堵を覚えたその直後。
「……この衣装、どう思いますか」
言いながら彼女がぎこちなく身体を左右に振って軽いポージングを幾度か披露した瞬間に飛び込んできた絶景を、シュンは決して見逃しはしなかった。
例の、あまりに短すぎるプリーツスカ―トの丁度中央辺り、彼女の恥骨前にて頼りなげにはためいていた黒い前掛けの隙間から、はっきりと黒い下着が覗いていたのだ。否、現在進行形でそれは幾たびも前掛けの隙間から姿を現し、あろうことかその薄布が彼女の恥丘に深く食い込んでいる様まではっきりと目撃することに成功してしまう。
ひとつ言い訳をするならば、なにもシュン自身がそれを求めて必死に目を凝らしていたわけではない。持ち前の動体視力が「つい」捉えてしまった、不可抗力の産物である。
「とても似合ってます!」
至近距離からじっくりと魅惑の肢体を眺めていたいという切実な欲望をどうにか寸でのところで堪え、自身の持ち得る限りの瞬発力で称賛の言葉をシュンは即答した。無言に飲み込まれてしまったら最後、下心に支配された思考は恐らく理性の糸を一つ残らず焼き切るだろうと確信していた故の焦燥からくる条件反射というやつだ。
ちなみに彼女の反応はというと、即座に飛んできた賞賛に面食らってしまったのか、下半月状の双眸を珍しく丸々と見開いていたのだが、徐々にそれは蕩けるように優しく細められ、しかしどこか落ち着きなく視線の先は定まらない。恐らくはあまりにも真っすぐな、言い方を変えれば実に捻りのない単純な賛辞に照れているのだろう。そんならしくもない彼女の反応も実にいじらしく、余計に煽情的だった。
「実は、この衣装で勲章授与式へ出席する事になりました。ただ、その……。それにあたって、一つ問題がありまして」
確かに、男の情欲――否、下手をすると同性のそれすら煽りかねない過激な衣装で厳格な式典に出席などしてしまった暁には、軍の士気に甚大な影響を及ぼしかねない。もとい、目覚ましい戦果を挙げる彼女がこのような衣装を纏い勲章を授与される事によってむしろ男どもの士気は逆に高まるのだろうか。
ぐつぐつと沸騰する腹の底と思考はもはや冷静さをすっかりと欠き、実にくだらない仮説を繰り返してしまう。
兎にも角にも、彼女は衣装部から用意されたこのあまりに過激な特注ドレスでの出席を渋っているのだろう。なにか良い打開策を提案しなくては――と、どうにか気を取り直しかけたその時である。続けて彼女から発せられた台詞は、予想の斜めを遥かに超えた突拍子もないものだった。
「この衣装は露出が多く、とてもえっちで気に入ってはいるのですが……」
などという、驚愕のカミングアウトが繰り出された後で慌てたように彼女はすかさずコホンと誤魔化すような咳払いを一つ零し、更に言葉を続けた。
「問題は、胸元です。見ての通り、その……。私のココは、通常よりも幾分か小ぶりなものですから谷間が出来ずに困っておりまして。宜しければ、貴方の意見をお聞かせ願えますか」
「えっ、ええ……?」
「貴方は同じ部隊の女性たちとよくお話をしていますよね。彼女たちから何か有益な情報を耳にしていたりはしませんか?」
確かに、同僚の女性たちと頻繁に会話は交わしてはいる。
が、しかし……。異性の谷間がどうのという話題で盛り上がった試しなど一度たりともありはしないのだ。様々なハラスメントが問題視される昨今、シュンがそのような発言を不用意にすればたちまち仲間内で袋叩きに遭い、最悪の場合は隊の風紀を大きく乱した懲罰を受け、始末書通り越して営倉入りなどという事態もあり得るだろう。
「いえ、残念ながら。そういう話題はちょっと疎くて……」
そもそもの話、乳房の大きさなど自身の意志でコントロール出来る代物でもないのだ。世の男たちが一物の大きさを自らの意志で決められぬのと同じく、女性のそれも任意でコントロール出来ない部分故、配られたカードで勝負をするしかないのが世の定めというものだろう。
が、彼女の方はそれを知ってか知らずか、どうしてもそんな世の摂理に抗いたい様子である。
「情けのない話ですが、私は人よりも小さな胸にずっとコンプレックスを抱いていました。トレーニングを行ったり、食生活で栄養を気にしてみたりと様々な方法を自分なりに試行錯誤して……。けど、結果は見ての通りです」
言いながら彼女は自身の掌で、ほとんど平らな胸元を覆い隠してしまった。
「どうやら女性ホルモンの量によって胸の大きさというものは変化するらしいのです。そこで私が調べた結果、どうやら外的な刺激が最も効果的であるという情報に辿り着きました」
女性ホルモンに、外的な刺激――。シュンのこめかみから、意図せず汗の雫がつっと流れ落ちる。
恐らく彼女は今から、とんでもない要求を突き付けてくるに違いない、と。根拠はないが、なんとなく予感してしまった。
まさか、いやそんな馬鹿な。しかし、一方的な期待が膨らみ続ける様を止められない。止められるはずもない。
そして、決定的な瞬間は訪れた。
「だから、貴方に――触れて、刺激して欲しいんです。私の、ココを」
衝撃の要求が齎され、思わず絶句する。無論、失望や嫌悪により言葉を失ったわけではない。このような、自分に都合の良い夢のような妄想じみた展開が訪れた喜びと衝撃によって今、シュンは言語という概念を一瞬、失っていたのである。
「で、でも! 触るだけですよ? 貴方には私の後ろに回って頂きます。見るのは禁止ですっ」
更に色濃く頬を紅潮させながら彼女は早口にそう捲し立てたが、果たして気付いているのだろうか。視覚的な刺激もなかなかだが、実際に男の手で触れ愛撫を施す事の方が余程過激な行為であるという事実に。
「ええっと、その……。勿論、俺で良ければ力になれたらとは思うんですが……。ホ、ホントに良いんですか?」
どうにか絞り出した上擦った声音で一応の確認を投げかけてみると、羞恥の為か、潤んだ翠玉の双眸が殊更大きく揺れ動く。
据え膳食わぬは男の恥、などという言葉が世の中には存在しているが、しかし――彼女からの申し出とはいえ、このまま素直に受け入れてしまうのも風紀的にどうなのだろうという、一体どこに潜んでいたのか僅かな理性がシュンの情欲に待ったをかけたのだ。
「正直、俺は女性の胸のことはその……。管轄外と言いますか。少々、自信がなくて……」
こうしてシュンが二の足を踏んだ事で、彼女は正気を取り戻し、千載一遇の展開をみすみす逃す羽目になるかもしれない。だが、一時的な気の迷いで男に身体を許して欲しくはないのだ、と。常ならば冷静沈着な彼女が大いに取り乱す様を目の当たりにして、シュンは正直なところ不安にも似た懸念を抱いていた。
「それに、今のままでも十分素敵ですから。だから、谷間にこだわる必要はそんなにないと思いますよ」
確かに、女性の乳房は大きいに越したことはないだろう。大は小を兼ねるとも聞くし、男の好みも正直なところ、巨乳派が主流であるという事実は揺るぎない。
だが、現状の姿でも十分彼女は魅力的である事もまた真実なのだ。実際、シュンは眼前の肢体に性的興奮を不本意ではあったが覚えてしまっているし、本人曰くコンプレックスだという小振りな二つの膨らみに実際触れることが出来たらどんなに幸せだろうとも思う。
「だから、自信を持ってください。今のままでも、貴女はとても素敵です」
瞬間、不安げに揺れていた彼女の双眸がキッと眇められ、見慣れたジトリとした視線がシュンを鋭く貫いた。
「いえ、私はこだわりたいんです。貴方にとっては些末な事なのかもしれませんが……。この衣装を纏った以上、どうしても谷間を刻みたい……!」
ずい、と彼女が大きく一歩を踏み出す。
間近に迫った彼女の瞳が、理性と下心の狭間でもがく愚かなる男を真っすぐと見据え、改めて力強く言い放った。
「これは、命令です。シュン、私の胸に触れて、女性ホルモンの分泌を促して下さい」
取り戻しかけていたなけなしの理性や男の矜持が無残に崩れ落ちる音が、鼓膜の奥から聞こえたような気がした。
ベッドに腰を下ろしたシュンの広げた股上辺りに座り込み、彼女は羞恥の為か長身を小さく縮こまらせていた。
後ろから実際に抱きかかえてみて初めて気が付いたのだが、見た目以上に彼女の体つきは華奢である。女性であるとはいえ、高身長になると肩幅なり骨盤なり、どこかしらの箇所がしっかりと骨ばったりするものだが、彼女の全身は実に丁寧に作り込まれた神の最高傑作といった印象を受けた。
さて、まずは乳房を触りやすいように衣類を寛げるところから始めるべきかと手を伸ばしたのだが――。
「ちょっと待ってください。申し訳ありませんが、衣装はそのままでお願いします」
この特注衣装を身に纏っている際、女性ホルモンの分泌が活発化するような肉体に仕上げておきたいというのが彼女の言い分である。なるほど、パブロフの犬と似たようなものかと一応は納得したシュンは、それならばと大きく開いた胸元の、小振りな乳房を守るビキニ部分の隙間にそっと指先を躊躇いがちに潜り込ませてみた。
「……っ」
瞬間、彼女は息を呑み、更に長躯をシュンの腕の中で縮み上がらせる。戦場で一人、どのような敵にも臆することなく勇ましく冷酷なまでに活躍する彼女が、まるで生娘のように自身の腕の中で震えている様は背徳心を大いに煽った。
更に掌を奥の方へ忍ばせてみると、小振りな膨らみへとようやく辿り着く。掌で全体を容易に覆えるほど些細な隆起であったが、十分な張りと絶妙な柔さによって形成されたその場所は乳房として申し分ない。加えて、滑らかな肌の感触があまりに心地よく、軽く摩っているだけでとてつもない歓喜が爪の先からこみ上げてくるようだった。
「だ、大丈夫ですか? あまり勝手が分からなくて……。何か不都合があったら、すぐに教えてくださいね」
興奮をどうにか押し殺しつつ、シュンが耳元で囁くと彼女はより大きく頼りなげに丸まった肩をびくんと跳ね上げつつも小さく健気に頷いてみせる。
彼女に男性経験があるのかないのか、シュンの知るところではないのだが、反応から察するに不慣れである事は確実だろう。ならば、なるべく丁寧に優しい扱いを心掛けねばと潜り込ませた掌と指先を慎重に蠢かせ、まずは左の膨らみを何度かゆっくりと揉み込んだ。
まず驚いたのは、弾力の良さである。小ぶり故、例え指を沈みこませたとしてもそれほど反発はしないだろうと勝手な想像を膨らませていたのだが、彼女のそこは小さいながらも低反発素材のように実に触りごたえのある感触を持っていた。
そして次は、肌を通して伝わる彼女の体温である。女性という生き物は男に比べて平熱が低めで、指先や足先などが凍える程に冷えてしまいがちというのが定説だが――今の彼女は、そうではなかった。
早くも薄く汗ばんだ瑞々しい肌を火照らせているのは、紛れもない「欲情」だ。羞恥と情欲によって熱を帯びた彼女の肉体は、いつしかその白肌を焦がしてしまうのではないかと懸念するほどに激しく燃え盛る。自身の愛撫がこのように彼女を灼熱へ導いているのかと思うと、建前上の優しさなどかなぐり捨てて今すぐ彼女をベッドへと組み敷き、心行くまで肢体を貪ってしまいたくなる衝動に危うく飲み込まれそうになる。
「……ッ、ふ……!」
掌で乳房を揉み込むうち、シュンの皮膚にしっとりと彼女の柔さが吸い付いてくるような感覚がとにかく堪らなかった。
控えめな膨らみに指先を軽く沈め、じっくりと時間を掛けながら弾力に任せてそれを離すたび、名残惜しげに彼女の皮膚がシュンへと次なる愛撫に期待を膨らませつつ熱の余韻を持たせるのだ。
まさか、これほどまでに煽情的で淫らな肉体の持ち主であったとは――。感心すると同時、憧れの異性と性的な接触を試みる自身の現状に改めて疑問を抱かずにはいられない。
「……ァ、っ」
彼女の肌が、三度ぴくんと跳ね上がる。自重を支えていられないのか、すっかりとこちらに背を預け、くったりとした様子で脱力してしまっていた。
「あの、少し休みますか? それとも、そろそろ止めておきましょうか。もし具合が悪いのであれば、あまり無理をしない方が……」
無論、脱力の原因が体調不良などではないという事実にシュン自身も気が付いている。何せ直接その肌に触れ、体温や感触、心の機微までをも感じ取るほどに密着した現状で彼女の興奮に気付けぬ朴念仁などこの世のどこを探し回ったとて見つける事は難しいだろう。
だが、さすがのシュンも己の手簡に蕩けた上司に向かって「随分と具合が良さそうですね」などという口が利けるはずもない。結果、体調を慮るという建前を取り繕いながら更なる愛撫を施して良いものかどうかお伺いを立てるという、なんとも意気地のない作戦に出る運びとなってしまった。
「いえ、大丈夫です……。続けて、下さい」
耳朶を真っ赤に染めながら、彼女は濡れた吐息交じりに愛撫の続きを懇願する。
「すみません、みっともない所を見せてしまって。貴方に触れられていると、その……。身体の力がどんどん抜けて、なんだかぼーっとして……」
――気持ちが、良いんです。
それは今にも室内の静寂へと消え入りそうなほどに小さな囁きであったが、シュンにとっては脳天を鋭く貫くほどの衝撃を伴う賛辞、否――睦言も同然であった。
瞬間、形成と瓦解を繰り返していた理性はいよいよ形無しとなり、彼女の乳房を揉み込む自身の手つきもより激しさを増して劣情の奈落へと急速に転がり落ちていく。
「んんっ、ァ……!」
思わず愛撫を施す掌に更なる熱意を込めてしまった次の瞬間、勢いのまま乳房の先端に可愛らしく添えられた――未だその全貌は目の当たりにはしておらず、感触のみで知る部分ではあるが――二つの突起をぐり、と力強く擦り上げてしまった。直後、彼女の身体がより激しく痙攣すると同時、蕩けるような嬌声をひと際大きくあげた為にシュンは思わず面食らう。
「ン、そこ……。すごく、ヘンです……っ」
掌の中で捏ねられていた小さな乳頭が、徐々に膨らむ様子を皮膚の上でありありと感じ取る。どうやら彼女はそこが性感帯のひとつであるという事実を知らなかったらしく、突如訪れた思わぬ悦楽に戸惑い、身悶えている様子であった。
そういえば、バストサイズが小さい女性はその分、乳首がより敏感になるらしいという噂をいつだったか耳にした覚えがあるのだが、果たしてそれは真実なのだろうか。
女性ホルモンの分泌を促すのが本来の目的故、乳頭への愛撫もきっと効果があるに違いないと根拠なく思い込んだシュンはというと、控えめな乳房をより大胆な仕草で揉み込みながら、同時に件の突起も軽く圧し潰すような動作を加え、しかし急激な愛撫にならぬよう緩急を付けて断続的な刺激を試しに与えてみる事にする。
「あっ、ああァ……! ん、はぁ……」
必死に押し殺していたはずの嬌声は、もはや彼女の意志では止められなくなっているようだ。
施す愛撫の激しさが増せば増すほどに、彼女も甘く囀り肌を何度も震わせる。
いつしか彼女の小振りな両乳房を隠していたビキニ部分はあられもなくはだけ、胸元部分はすっかりと外気に晒されてしまっているようだった。
果たして今、情欲に飲み込まれつつある彼女はどのような表情を浮かべているのだろう。そして、自身の掌の中にある乳房はどれほど美しく淫靡な形をしているのだろう――。
感触から想像力を掻き立ててはみたものの、その輪郭はどうにもぼやけて上手く形作る事が出来ない。
やはり、この目で見たい。焼き付けたい。願わくば、それを視線で味わいながら撫でまわし、揉みしだき、あわよくば心行くまで舐ってみたい――。そんな欲望ばかりが募り、シュンの呼吸も次第に荒くなっていく。
「っ、気持ちいいです……。貴方の掌がすごく温かくて、心地よくて……。ンンっ……! もっと、色々な事をしてみて欲しいと、思ってしまいました……」
互いの熱に絆され、もはや乳房への緩い愛撫だけでは収拾がつかなくなってしまっていた。シュンも、そして彼女も、一方的な接触ではなく、混じり合い蕩け合う激しい情交を強烈に求め、愛欲に飢えているのだ。
「レオナさん、こっちを向いてもらえますか」
「……え?」
「いいですよね、もう」
興奮のあまり、少々強引に迫るような物の言い方をしてしまったが、自らの非礼を気になどしていられないほどにシュンは劣情に心身を支配され、もはや己の浅ましい欲求を貫き通す以外の事象など眼中に入りもしない状態なのだ。
対する彼女の方も、当初の約束であった「見るの禁止」という縛りの中では十分な悦楽を享受できない事に気が付いたらしい。しばしの逡巡の後、羞恥に塗れた様子でゆっくりとこちらを振り返り、コンプレックスだという小振りな乳房を遂にシュンの眼前へと露わにしたのである。
確かに自己申告通り、その乳房は谷間を刻めぬほどの実に控えめな大きさをしていたが、しかし――椀型の美しい二つの膨らみは著名な芸術家が手掛けた彫刻の女神を想起させるほど形良くバランスも整えられていた。
だが、それは手を加える場所など何処にも見当たらない完成品に思えたと同時、未発達故の危うさもひとしお強く、発展途上の趣もどこか感じ取れる不思議な造形だった。
隙のない美貌と、成熟にはほど遠い幼さの混在した筆舌に尽くし難い彼女の乳房は、やはり実際にこの眼で目撃してこそ真の魅力に気付けるのだとシュンは感嘆を零さずにはいられない。
そして、そんな絶妙なバランスによって象られた隆起の先にてピンと硬く張り詰めている乳頭も実に絶妙だ。乳房の大きさと比率の見合った乳輪もさることながら、薄く桃色に色づいたその場所はどこか知られざる神聖な器官にも思えてくる。
残酷な話ではあるが、いくら大きな乳房を持っていたとしても、乳頭の形や色もそれに伴って男好きする造形とは限らないのだ。乳房とのバランスが取れていなかったり、色が黒ずんでしまっていたりとなかなか男の理想とするそれを持ち合わせている女性は見当たらないものなのだが、眼前に今、その理想をまさに具現化したものがシュンの為だけに晒されている。
極めつけは、そんな露わとなった彼女の乳房を引き立てるかの如く開けた衣装の乱れ具合である。まさかこのドレスのデザインに携わった者は、こうして彼女が異性にこの衣装を脱がされる瞬間まで念頭に置いて設計を手掛けたのではと思わず勘ぐってしまいそうなほどに、それはいつにも増して眩しく煌びやかに彼女の肢体を彩っていたのだ。
ビスチェがほとんど取り払われてしまったそこは、まるで彼女の乳房から臍部にかけてをくっきりと浮かび上がらせる為かの如き稜線に切り取られ、否が応でも視線を惹きつけられてしまう。
先程、衣装をすべて脱がせようとしてしまった己の愚行が今更ながらに恥ずかしい。一糸纏わぬ彼女も勿論美しさに満ちていただろうが、絶妙なボディラインを引き立てる様々な曲線と陰影をその身に描いた姿はまさに芸術であると同時、淫魔のように愛らしく性的だ。
「すごく、綺麗です」
無意識に賞賛の言葉を囁いたと同時、堪らず二つの膨らみ目掛けて己の顔を勢いよく埋めてしまった。
掌だけでは飽き足らず、熱を持った自身の頬でも控えめな隆起と、興奮の為に硬く尖りつつある乳頭の感触を執拗に擦り付けて心行くまで味わい堪能する。
しっとりと汗ばんだ肌の感触や温もりも実に絶品だ。本来であれば透き通るほどにくすみのないその白肌が今、情欲によって赤く火照り、尚且つ興奮が齎した汗によって濡れそぼる様はあまりに鮮烈である。
薄暗い室内を仄かに照らす間接照明の灯りを反射し、てらりと光るその艶めかしさと言ったら、思わず手を伸ばさずにはいられない。
そんな汗の湿り気さえ楽しむように五感すべてを駆使して愛撫に精を出していたその最中、丁度左胸の辺りに早鐘の鼓動を感じて更なる背徳へと突き落とされた。
拙いながらも自身の愛撫が、彼女の脈動にさえ作用してそれを触感として認識する事が出来るなんて、と。
「ァ、だめ……! そんな、恥ずかしいです……っ」
獣と化した部下の興奮ぶりに臆したのか、彼女は戸惑いを滲ませながら小さく身を捩ってみせたが、それが本気の抵抗ではない事など初めから気付いていた。
なんといっても彼女はその華奢で繊細な見た目に依らず、同僚の女性を軽々と片手で持ち上げる程の怪力である。その気になればシュンの事など、数秒も掛からず組み敷くどころか意識を奪う事さえ可能なはずだった。
要するに今、彼女が口走った「だめ」という言葉はシュンに向けられたものではなく、悦楽に溺れてはしたない姿を晒してしまいそうになっている淫らな自身へと発せられた戒めの慣れの果て、往生際の悪い理性の残滓なのだ。
「あああっ……!」
だが、そのような抵抗心も乳頭へと吸い付いた途端、脆くも粉々に砕け散り、熱せられた硝子の如く燃え盛りながらどろりと蕩けて形を失ってしまった。
まずは硬く尖らせた舌先でちろちろと、刻むような仕草で乳頭への刺激を繰り返していく。続いて、尖らせた唇で先端を吸い上げながら口腔に含み軽く吸い上げると、しなやかな彼女の背が大きく仰け反って痙攣した為にシュンは慌てて腕を回し、それを危うく受け止めてみせた。
「あっ、ンン! はぁ……っ、どうして……。私のお腹が、何故かジンジンして……」
長躯をくねらせながら、やがて彼女も再びくったりと脱力してシュンの肩へとしなだれかかり、自身の体内にて巻き起こっている淫靡な現象を子細に口走る。
「貴方の舌と唇で、そこを舐められると……っンン! なんだか、駄目になりそうなんです。私のいけないところが疼いてしまって……。ああっ! このまま溶けて、貴方とひとつになってしまいそうで……」
うっとりと呟きながら、ふと彼女が顔を上げる。
至近距離から覗く翡翠の瞳は、情欲に濡れて物欲しげに揺らめいていた。
その切実な何かを秘めた双眸がシュンに何を求め、内を訴えているのか。問い質すまでもなく、察してしまう。自惚れでもなんでもない、彼女が求めているのはシュン自身――否、シュンの腹の底で先ほどからずっと燻り疼いている煩悩の解放だ。女としての本能が彼女を開花させ、無自覚ながらも眼前の雄を食らわんと求めている。
「っ、あんまり煽らないで下さい……! 俺、歯止めがもう効きそうにないですから」
意趣返しにと乳頭へほんの僅かに歯を立ててみせると、それはそれで甘い刺激になってしまったのか、彼女は殊更に全身を悩ましげに捩りながら切なくも甘い嬌声を大きくあげてみせた。
「ァ、んぅ……。ごめん、なさい……! 私も、どうしたら良いのか分からなくて……」
言いながら彼女が縋りつくようにしてシュンの背に腕を回した、その瞬間。
「ぁ、ふ……っ」
「く、っ……! レオナ、さ……」
スラックスを大きく押し上げるほどに勃ち上がったシュンのペニスへと、彼女の性器が意図せずふいに押し付けられた。
「や、ンぁ……!」
互いに布地を隔ててはいたものの、彼女のそこが愛液によってすでにぐっしょりと濡れそぼってしまっている様が分かる。こうなってはもう、ペッティングだけでは済みそうもない。すぐにでも互いの衣服を取り払って、彼女の蜜壺を内側まで暴いてしまいたかった。
その衝動のまま、シュンはついに彼女の唇を自身の唇で半ば強引に塞ぎ、蹂躙を開始する。
「ん……っ、ぁ……!」
触れた瞬間の柔さといったら、乳房を掌で堪能した際に匹敵する――否、もしかするとそれ以上に極上の触感であったかもしれない。
まずは互いの粘膜を擦り合わせるようにして触れるだけの口づけを幾度か繰り返し、やがてその間へと割り入って今度は粘膜の内部へと潜り込む。口腔内の粘膜は肌の表面よりも更に体温が高く、やけに熱っぽい。唾液によって艶やかに湿りを帯びたその場所を弄っているうち、もしかすると愛液滴る彼女の性器も似たような感触なのだろうかという妄想が沸き起こり、自らの愚息がより大きく膨らんでしまう。
それに、躊躇いがちではあったものの、彼女も自らの意志で舌を絡ませてくるのが非常にいじらしく、同時に淫らで堪らなかった。
「貴方の此処……。すごく、あついです」
口付けの合間、無意識なのか意図的なのか判別はつかなかったが、あろうことが彼女は自身の腰をシュンの張り詰めた下肢へと擦りつけながら、うわ言のように囁いた。
「私のせい、ですよね。けれど、私も貴方のせいでこうなってしまったから……。だから、もっともっと先へ進んでみたくなりました。いけませんか?」
ここで彼女の提案に対し、首を横に振れる男がもし存在するとしたら、お目に掛ってその理由を問い質してみたいものだと、どこか意識の遠くで呑気に思案しながらシュンは誘われるがままに頷き、そろりと彼女の下肢――例の頼りなげに揺れていた黒い前掛けへと遂に手を伸ばす。
ゆっくりと捲り上げたその先に待っていたのは、前掛けと同系色に揃えられた漆黒の下着であった。シルク生地を使用しているのか、つるりとした触感の素材は酷く妖艶で、あどけない彼女の面持ちや初心な反応とは裏腹に数多の男たちをその場所で魅了してきたのではと思わず勘ぐってしまう程に蠱惑的である。
果たしてこの下着も込みでデザイナーが手掛けているのか、はたまた彼女自身が選んで身に付けている完全な私物なのか――。新たに湧き出した好奇心が答えを求めてふいに野暮な失言を零しそうになったものの、どうにかぐっと飲み込んで遂に現れた下着の全貌へと己の関心を引き戻す。
彼女が身悶える度にそこへ波打つ布地の微細な皴すらシュンの劣情を煽るようで堪らなかった。絹の波が幾つも隆起し、彼女の脱力と共に引いていく様はまさに劣情の機微である。彼女の中で悦楽が高まる瞬間と、それが落ち着く瞬間が垣間見え、視線が釘づけられてしまう。
我ながら、目の付け所がなかなかに変態的だなと嘆息せずにはいられなかったが、しかし――半ば八つ当たりのようになってしまうが、目の前の彼女が魅惑的過ぎるのがいけないのだ。露出した肌や乳房、そして圧倒的な美貌を携えた顔立ちに飽き足らず、下着に刻まれた皴の動きにまで情緒を醸し出すとは全く油断がならない。
「レオナさん、本当にいいんですね」
言いながら、シュンはそっと伸ばした指の先で、布越しではあったものの、遂に彼女の性器を掻くような仕草で軽く擽った。
「あっ、はああああ! んっ、ァ……ん!」
撓る肢体と、跳ね上がる肌。徐々に切実さを増していく甘い囀りは動物の求愛行動じみてすらいて、シュンのみならず、彼女自身も理性をかなぐり捨てつつある様子が窺えた。
頬の火照りなど今では耳朶の方にまで広がり及んでおり、触れて確かめずとも燻った熱の高さが容易に見て取れる。
こうなってはもう、互いに堕ちていくしかない。言葉を交わす事さえもどかしいが、同時に聞き出したい事も山ほどあった。
なぜ、自分を選んだのか。なぜ、ここまで身体を許したのか。シュンに対してどんな感情を抱いているのか。明日から二人はどういった関係に落ち着くのか。
だが、いま真っ先に尋ねなければならない事といえば、ただ一つである。彼女は、承知しているのだろうか。このままシュンと肌を重ね合わせ、一つになる行為について。
「今から俺が貴女に何をしようとしているのか、貴方の此処がどうなってしまうのか……」
今更分からないなどと無垢を装われたとしても、この先の行為を止められる状況には既にないのだと強く念押しすると、彼女は殊更に双眸を潤ませながら、こくりと小さく頷いてみせる。
「んんっ、貴方こそ……。この期に及んで、こんなにもグズグズになってしまった私を半端に放り出したりしないで下さいね……?」
言いながら彼女はゆっくりと回した両腕にて改めてシュンの首に縋りつき、火照った頬を、露わになった控えめな乳房の膨らみと先端の突起を、臍の窪みさえもぴったりと密着させるように押し付けながら、むうと唇を軽く尖らせる。
じわり、じわりと。滲み出した愛液は布地を侵食し、やがては粘り気を帯びてシュンの指の腹さえしとどに濡らした。
「だって、私はもう……。こんなにも、感じてしまっているんです。貴方の指先がここまで私を溶かして……。私の身体も心も、いやらしく刺激したから……。あっ、ンンン!」
恐らくこの辺りが陰核だろうかと検討をつけて程よい加減をつけながら、ぐり、と小さなしこりを押し潰したその瞬間、彼女はその細くしなやかな背を美しく弓なりに反らせながら子猫のような甘く媚びた高音で享受した悦楽の強烈さを赤裸々に物語る。
「あっ、ああァ……! ン、そこ……」
跨いだシュンの腰を魅惑の太腿で力強くぎゅっと挟み込んだかと思えば、突如脱力したかのようにだらりと淫靡に股開く緩急が実に艶めかしかった。自身が施した性器への直接的な愛撫に悶絶する彼女にはもう、常の沈着さは微塵もない。
他人の心理や油断を見逃すまいと普段ならば眇められている翠玉の双眸はすっかりと蕩け、歓喜の涙さえ浮かべて与えられる快楽に酔い痴れている。不埒な雫を湛えて切なげに揺らめく視線が時折、助けを求めて縋っているのか、それとも更なる刺激を求めて強請っているのか、判別のつかない何かを訴えながらシュンの姿を捉える瞬間に爪先から駆け上る優越感は凄まじいものがあった。
「だめ……っ、ああッ! このままでは、私……っ」
本当に駄目になってしまう――と。
ここまで言われ、忍耐強く紳士を気取って虚勢を張り続けられる男など恐らく存在しないだろう。
「レオナ、さん……っ」
堪え切れず、シュンは今度指先ではなく、寛げた下着の中から取り出した己のペニスでシルクの布地越しに彼女の性器を擽り、突き上げるように擦り上げてみた。
「あ、ん……っ! あつい、ンン……。ァ、硬い……」
薄い絹を隔てて伝わる男の欲望が持つ凶暴さに戸惑いつつもどこか悦んでいるようにも思える彼女は自らも腰を落ち着きなく揺らめかせながら、押し付けられたペニスの感触に熱い溜息を繰り返す。
「ァ、はぁ……。ン、ああ……!」
柔らかくそこを押し上げる度、くちゅりと淫靡な水音があがった。下着へと滲んだ彼女の愛液に加え、今はシュンのペニスからとめどなく流れ落ちている先走りの雫も入り混じったそこは洪水でも起こしたかのように粘液に塗れ、互いの肌を、性器を、淫らに濡らし続けていた。
挿入を伴わない疑似的な交わりでここまで興奮を楽しめるとは新発見だった。下着越しに薄っすらと伝わる彼女の大陰唇が性的興奮によってぷっくりと膨らむ感触もなかなか背徳的で、直に触れるよりもある意味、不可侵領域に立ち入ってしまった時にも似た禁忌を侵しているような罪悪さえ抱きそうになる。
が、しかし――やはり、最後は実際に彼女の内側を存分にこの手で、この眼で、そしてこの煮えたぎる肉棒で堪能し、今にも破裂しそうなほどに睾丸へと集まった煩悩のすべてを解放せねばなるまい。
「……見せて下さい、貴女の大事なところ」
ともすれば叫び出してしまいそうなほどに高揚してしまっている自身の興奮をどうにか噛み殺しながら囁くと同時、シュンは遂に下着へと手をかけ、もたつきながらもそれを脱衣させることに成功する。
「あ、ふ……っ」
現れたのは、実に純真かつ淫らな割れ目であった。
下生えすらないつるりとしたその場所、下腹部の先にほんの僅か覗いた小さな渓谷は、初々しく控えめながらも度重なる愛撫を受けて既にぐっしょりと濡れそぼってしまっている。
その様は、先程目撃した彼女のあどけなさと漆黒の下着の対比とどこか酷似しているようにも思えた。純真無垢が情欲によって染まり穢されていくようなアンバランスが、どうにもそそって仕方がない。恐らくこれが、男なら誰しもがその腹の底に秘めている身勝手な支配欲というやつなのだろう。
それにしても、と改めて至近距離から彼女の体躯をまじまじと眺めてみたが、非の打ちどころが一つも見当たらない、まさに神の最高傑作とはこういった肉体を指し示すのかと三度思い知らされてしまう。
興奮の為か、荒げた呼吸に合わせて上下する薄い腹部も実に煽情的である。やはりその場所も性器や乳房と同じく十七歳の少女らしいあどけなさによって形成されていたものの、浅く窪んだ臍部に落ちる影は奇妙に大人びているというかなんというか、歳不相応の「女」を感じてしまう。
よくよく眺めてみると、彼女の美貌はそういった「無垢な少女」と「蠱惑的な女」の狭間が絶妙に表現された箇所が実に数多く散見される。それはもしかすると、硬い殻に守られ続けていた蛹が美しい羽根を持つ蝶への脱皮を目前にした状態に、どこか似ているのかもしれない。
少女が大人の女へと変貌する刹那の瞬間、そんな貴重なひと時にこうして肌を重ね合わせる事を許された自分は惑星一の果報者だ。
「……凄い、綺麗だ」
思わず零れた感嘆は、彼女への賛辞というよりも、シュンの本音が意図せず漏れ出してしまった独り言にほど近い。
眼に穴があく瞬間までそこを焼きつけようと躍起になっていたのだが、とうとう堪え切れず下腹部に刻まれた割れ目のラインをつうっと指の腹でなぞってみると、彼女の蜜壺から溢れ出したのであろう愛液が糸を引きながら纏わりついてくるのが分かる。
「あン、ぅ……! やだ、恥ずかしいです……っ」
恐らく感覚でその様を悟ったのであろう。はしたなく性器を濡らした自身に対して強烈な羞恥を覚えたらしい彼女は泣きぐずるような声音でそう零したが、シュンの一挙手一投足に肌を震わせる様は相変わらず淫らなままだ。その上、恥じらいの中にも隠し切れない情欲が滲み出しており、恐らく彼女の中にある葛藤が時折顔を覗かせる。
恥ずかしい、でも気持ち良い。これ以上は駄目、けれどもっとしたい。相反する感情と欲求が綯い交ぜとなり、彼女を艶やかに彩っていく。
そんな彼女に誘われるようにして、シュンは取り出したペニスの先端を割れ目の更に奥――未だ溢れて止まない愛液を滴らせ続けている膣口へと宛がった。
「あ……っ」
「ッ、ふ……!」
数々の興奮と劣情によって硬く膨らんだ亀頭の先が、激しく蠢く粘膜の内部へつぷりと徐々に沈んでいく。
「ああっ、ンああああ……!」
先端をすっかり飲み込んだ後、続いて血管の浮き出た陰茎を埋め込む事に全神経を集中する。
未だ膣口を単に広げているだけという状況で正式な挿入状態には程遠かったのだが、既に相当な締め付けをシュンは自身の性器で感じ取っていた為に勢いのまま貫く真似だけはするまいと、興奮と劣情に溺れながらも慎重に腰を押し進めていく。
全くの初めてか、それとも不慣れなだけなのか。定かではなかったが、飲み込みたいのか吐き出したいのかぎこちない収縮を繰り返す彼女の粘膜は今、戸惑いに満ちていた。
自らも強烈に望んで受け入れた男性器の感触とその衝撃にどう対処すべきか考えあぐねているのか、当初から凄まじい締め付けでシュンの陰茎へと纏わりつく。
こちらとしては堪えが利かなくなるほどに気持ちが良いのだが、果たして彼女の方はどうであろう。
不安を覚え、顔を覗き込んでみると――。
「あ、う……」
潤んだ双眸を大きく見開いたまま、小さな口をはくはくと喘がせながらその視線を中空へと彷徨わせている。
「大丈夫、ですか……?」
尋ねると、瞠目していた双眸がほんの僅かに眇められ、その焦点が戸惑いと興奮を滲ませたシュンの眼差しとかち合った。
「ン、ふ……っ。大丈夫、とは言い難いですが……」
言いながら彼女は浅く繋がった腰をもぞもぞと落ち着きなく揺らしながら、その口角をほんの僅か柔く緩ませ小さく微笑む。
「なんだか、幸せです」
瞬間、シュンの胸に沸き起こったのは甘酸っぱい果実のそれに似た実に清涼感のある切ないもどかしさと、淡いときめきだった。
ああ、どうせ肌を重ね合わせるのであれば、正式な手順を踏んで告白なり何なりを経ていたかった――などと後悔を覚えたところで、もう遅い。
その上、大きく息を吸い込んだ拍子に意図せず陰茎が肉壁を押し開きながら更に奥へと一気に進んでしまった為、十代らしい恋心はたちどころにかき消され、再びシュンの心身は強烈な煩悩に飲み込まれる事となる。
「ああああっ、ンぁぁぁ……ッ」
シュンの眼前にて、しなやかなレオナの肉体が大きく仰け反った。露わになった胸元はまるでこちらへと差し出されるかの如く大きく突き出され、しかし未だ乳房以外の部分は着衣を保ったままでいるというコントラストが背徳感をより際立たせて実に魅力的だった。
堪え切れず幾度かゆっくりと律動を刻んでみると、張り出された控えめな乳房と乳頭がぶるぶると小刻みに揺れる様を間近で目撃してしまう。
谷間こそ未だ刻まれてはいなかったものの、小振りながら形良く美しい二つの膨らみと、繊細な飾り細工のような桃色の乳頭が情交の律動に合わせてあられもなく揺れるその様を特等席から眺め見るうち、どうしようもない衝動が込み上げてくるのが分かった。
「レオナ、さ……っ」
しなる彼女の細い背中を抱き寄せ、シュンは理性をかなぐり捨てて荒ぶる乳房へと更に自らの顔を寄せてみる。
例えたわわに実っていなくとも、乳房というものはこんなにも妖しく艶やかに震えるのだなと感心するその傍ら、もし彼女が本当に谷間を手に入れられたとしたら、いま身に纏っているドレスにどれだけの魅力が増すのだろうという妄想が沸き起こり、まだ見ぬ景色にも関わらず一方的な興奮を抑えきれない。もはや彼女の望みは、シュン自身の望みにもなりつつあったのだ。
無論、谷間のない現状でも非常に魅力的な肉体である事は覆しようのない事実なので、本当のところは谷間の有無など些末な違いに過ぎなかったのだが。
「んん、ァ……。すごく、あつい……!」
揺さぶられながら彼女はうわ言のように呟きつつ、潤んだ翠の瞳でシュンを射止め、小さな唇の端をほんの微かに綻ばせる。
「あつくて、大きくて……。溶けちゃいそうなくらい、情熱的で……。ふふっ、でも凄く優しくて……」
恐らくは無意識の出来事であっただろう。彼女はそう言いながら、自らの粘膜に受け入れたシュンのペニスを柔い襞の中できゅ、きゅっと小刻みに何度も締め付けてみせたのだ。
「っ、く……!」
勿論、そんな誘惑を仕掛けられて紳士的な振る舞いを貫けるほど成熟した男ではない。反射的に彼女の細い腰を掴み、更なる突き上げにて自らの上に跨る肉体を激しく躍らせてしまう。
「レオナさん、僭越ながら忠告させてもらうと……。そういうセリフ、危険です」
欲情による獣じみた卑しい呼吸を奥歯で噛み殺しつつ、シュンは半ば八つ当たりのような思いで苦言を呈した。
「そうやって煽られると、その……っ! 男って生き物は単純で、貴女が思うよりもずっと馬鹿なので……。勘違いして、歯止めが効かなくなるんです……!」
言いながら、自身の言葉を体現するかの如く律動は激しさを増していく。その度、眼前にて魅惑的に揺れる彼女の細い腰、そして張りのある小振りな二つの隆起が煽情的な弧を描いて揺れ動き、その瑞々しい肌にじんわりと汗を浮かべていく様をシュンは更に顔を近づけて欲望のままに視姦してしまうのを止められない。
目のやり場に困るという状況は、まさにこの事を指すのだろう。陶器のように滑らかで透き通った白肌が艶を増すかの如く情欲による汗を滲ませ、雫となったそれはこめかみから顎の輪郭をつうっと伝い落ちて首筋を滑り、やがては上下に踊る乳房の狭間へと繰り返し何度も滴っていく。
まるで彼女が欲していた谷間のラインをなぞるように、何度も何度も――。
「……いいんです、それで」
葛藤と煩悩に飲み込まれ、夢と現の見境さえ付かなくなっていたシュンの耳朶に、甘く掠れた吐息と共に熱っぽい彼女の蕩けた声音がふと囁いた。
「本来の目的をお忘れですか? 私は、女性ホルモンの分泌を促したいのです。だから……っ、ンン! もっと、貴方に激しく求められて、私の中にある雌としての本能を刺激して頂かないと……」
言いながら彼女はふいにシュンの左手首を柔らかく掴むと、あろうことかそれを自らの右乳房へと導いた。
「ほら、こちらが疎かになっていますよ」
促され、抗えるはずもない。
シュンは多少の加減は施しつつも、左手の中にある小さな膨らみを掌で半ば押し潰すような圧力を加えながら円を描くように撫でまわし、その柔く滑らかな感触を皮膚に集まった神経すべてを使って存分に味わった。
「あっ、はァ……っ」
花弁のように色付いた彼女の唇から、より一層、甘く蕩けた嬌声が零れ落ちては熱っぽく掠れていく。
「貴方の触り方、すごく……。すき、です……っ」
呼吸を乱しながら、シュンを更に煽ろうと挑発を仕掛けているのか、それとも熱に浮かされて自らの胸の内を独白として吐き出しているだけなのかは定かではなかったが、彼女は施される愛撫に身悶えながらそれを褒め称えつつ、更なる悦楽を強請り続けた。
「ああっ、そこ……。ン、いまの凄く……。きもち、よかったです……っ」
「こう、ですか……?」
大きく撫でまわす最中、シュンが掌の中央でぐり、と乳頭を押し潰す仕草を幾度か繰り返してみせると、彼女は激しく何度も頷きながらとうとう自らも腰を揺すり、不埒な律動に拍車を掛けて行く。
「その……。ちくび、が……っ、ああ! これほどまでに敏感な場所だとは、知らなくて……」
確かに彼女の言う通り、乳頭が性感帯である事を知らずにいる人間は男女問わず、なかなか多い。第三者に開発される事によって目覚めるというパターンがほとんどではないだろうか。
「貴方が、気付かせてくれました……。だから、もっと触って……。もっと、貴方に暴いてほしいんです……っ」
――私も知らない「私」を、と。
激しく求められては、もうどうする事も出来なかった。
シュンはとうとう撫でまわすだけに飽き足らず、再度その膨らみへ唇を寄せると赤ん坊のようにしゃぶりつき、乳輪全体を吸い上げてみたり、咥え込んだまま激しく舌先を躍らせてつんと勃ち上がった突起に容赦のない刺激を与えてみたりと、もはや気遣いも遠慮も半ばかなぐり捨てた愛撫を惜しみなく執拗に繰り返してみせた。
「んああああ……っ、あァ……ッ」
彼女の腰がより激しく踊り、妖しくうねる。
ふと視線を下ろしてみれば、彼女が纏ったプリーツの腰巻きと漆黒の前掛けがピストンに合わせてふわりと舞い上がり、互いの結合部分をほんの一瞬、露わにしたり隠したりと、なんとも度し難いチラリズムを醸し出していた。
それらが織りなす背徳交じりの劣情は、生まれたままの姿で興じる性行為では決して体感出来なかったであろう、着衣ならではの興奮だった。
「ああっ……。イイ、です……っ、それ……。貴方の熱い舌、すごく気持ち良くて……。激しくされると、すごくいやらしい気分になってしまいます……っ」
彼女の零した淫らな台詞が、嘘偽りのない本心であるという事実をシュンは自らの性器で知る事となる。
こちらが激しく乳頭を舌先で転がすたび、そして乳輪の淵をなぞったりするたびに、潜り込んだ粘膜の内部が激しく蠢きながらシュンのペニスをきつく包んで熱を発するのだ。
勿論、意図的にこういった仕草を繰り出せない事もないだろうが、彼女は恐らく男性経験などない所謂「清き乙女」である。すべては彼女の内側、誰の目にも届かない奥底にてくすぶっていた淫らな本性が解放された事による真の激情に違いない。
「ン、っ……。シュン……!」
今にも泣きだしてしまうのではないかという程に潤み掠れた彼女の声音が、切実な響きを帯びてこちらの名を呼んだ。
「その、私の胸は……。どう、ですか……?」
上目に様子を窺うと、すっかりと羞恥に塗れ、とろんと蕩けた翠の視線とかち合う。
「貴方にそうやって触れられて、んんっ、舐められたりすると、私……っ、すごく気持ち良くて蕩けてしまって……。けれど、私ばかりが気持ち良くなっているのだとしたら、申し訳なくて……」
この期に及んでそのような事を言い出すあたり、やはり彼女にはまともな男性経験というものがないらしい。
一方的に与える快楽のみでここまで興奮が出来るほど、シュンは献身的で熟達した男ではないのだ。
「馬鹿言わないで下さい……っ、俺だって死ぬほど気持ち良くて、今にも我慢が効かなくなりそうなんですから……!」
言いながら殊更に激しく腰を突き上げてみせると、彼女は子犬のように愛らしい嬌声をあげながら、プリーツスカートの裾をはらりと舞い上がらせる。
「……分かるでしょう? 貴女の胸は、ここまで俺を興奮させているんです。いや、胸だけじゃありません」
抱き上げた肢体を改めて爪先からつむじまで舐るようにじっくりと眺め上げ、その美しさと妖艶さにシュンは鼓動を高鳴らせた。
「本当にその衣装、よく似合っています。それに、貴女は御自身の胸の大きさを非常に気にしているようですが……」
言いながらシュンはごくりと唾を呑み込みつつ、掌の中に収まった乳房をより激しく大胆に撫でまわし、そして感触を確かめるかの如く執拗に揉み込んでみせる。
「んんっ、はァ……! んァ……っ」
「まず、形が凄く良い……っ。なのに、張りがあって、それでいてふわふわと柔らかくて……!」
幾度その柔肌に指を沈みこませたとて、感触に飽きる気配はなかった。むしろ、滲んだ汗によってしっとりと濡れた感触がまた今までとは異なる劣情や興奮を際限なく生み出し、シュンの性欲を未だ大きく育てようと膨らみ続けているのだ。
「勃起した乳首だってホラ、こんなに綺麗な色をしているし物凄く敏感で可愛らしいじゃないですか……!」
自身の唾液に塗れた乳頭を指の腹でピンと弾けば、彼女は爪先を立てながら露出した下腹部を何度もビクビクと痙攣させる。
「あう、ン! はァ……っ、ああ……ッ」
「衣装だって、とっても似合っています。この光景を俺だけのモノにしたい、他の誰にも見せたくなんかないって思ってしまうほどに……っ」
汗ばんだ肉同士がぶつかり合う破裂音、そして結合部から奏でられるあまりにも淫らな粘液の掻き混ぜられる水音が、そのうちに二人の会話を呑み込んでいく――」
「あああっ、もうだめ……! 私のアソコがぁ……っ。きゅんきゅんして、全部溶けちゃう……!」
ほとんど泣き叫ぶように悶えながら、彼女は露わになった自身の下腹を華奢な指先でそっとなぞり上げ、あろうことか律動に合わせて揺れる前掛けの端を摘まむと軽く捲り上げてみせたのである。
そこから現れたのは、熱く滾るシュンのペニスを深々と受け入れる彼女の色付いた浅い割れ目だった。
「見えますか……? んんんッ、ああああ! 私の中が、こんなにも貴方で満たされていて……っ」
あまりの絶景に、視界が明滅する。
恥じらうように薄く色付いたあまりにも初心な彼女の性器と、そこへ突き立てられた自身の怒張した性器とのコントラストが、あまりにも激しい。
無垢な少女の聖域を自身の欲望が蹂躙する様は一見、グロテスクなようにも思えたが、次第に其処が一方的に乱されるだけに留まらず、今度は貪欲に彼女の方から悦楽を求めて蠢き始める光景は実に淫らで神々しくさえもある。
「ああっ、どうか許してください……! 胸を触るだけと約束を持ちかけたのは私の方なのに……っ。我慢が出来なくて、貴方をここまで求めてしまった……」
告解を口にしながらも、彼女は魅惑の衣装に彩られた腹部から臀部にかけてを艶やかにくねらせ、とうとう最奥にまでシュンの欲望を呑み込んでしまった。
「貴方の指先も、体温も、唇も、舌先も……。ぜんぶが、私をだめにしてしまうんです……!」
腰回りを彩るプリーツの襞が、高く大きく、ふわりと舞い上がる。
「レオナ、さん……っ」
「ああああ、ン……っ。シュン、もうだめ! ホントにだめぇぇぇぇ……ッ」
どくり、と。先に激しく脈打ったのは彼女の方か、それともシュン自身なのか。
「……くっ、レオナ、さ……!」
「ああっ、はァァァァァっ……! んんっ……!」
息を呑んだシュンが柔く温かな彼女の膣内にて白濁を迸らせたのと、彼女が魅惑の胸元を激しく揺らしながら大きく仰け反ったのは、ほとんど同時であった。
どうやら互いに、絶頂を迎えてしまったらしい。
「あっ、はぁ……。ンン、はァ……」
彼女はぐったりとした様子でシュンへとしなだれかかり、未だ落ち着かない乱れた呼吸を肩で繰り返しながら生まれて初めてのオーガズムに戸惑いを覚えている様子だった。
「大丈夫、ですか……?」
射精した直後、無気力感に苛まれがちな男とは違い、女性の悦楽というものは余韻が長く尾を引くものだと聞いた事がある。
未だ絶頂から心身ともに戻れずにいるらしい彼女の表情を覗き込んでみると、翠の双眸は依然とうっとり蕩けたまま、日常に戻ってくる気配は微塵もない。
それどころか――。
「……っ、ちょ……! レオナ、さん……ッ」
膣内に取り残されたまま、徐々に硬度を失いつつあったシュンのペニスに再びきつく彼女の粘膜が絡み始めたのである。
それは次なる吐精を促すように、搾り取るような妖しい蠢きを以て陰茎や亀頭へねっとりと隙間なく張り付きながら蠕動を繰り返す。その仕草はまるで、たった一度きりの絶頂などでは物足りないのだと言わんばかりの貪欲さだ。
「シュン、もっと……。私を暴いて、私の女としての本能を引きずり出して下さい……っ」
果たして彼女の唇から零れた切実な懇願は、本来の目的である「女性ホルモンの分泌促進」に準じたものなのか。それとも、初めての悦楽に深く溺れ、理性を金繰り捨ててしまった淫らな欲求が膨れ上がった成れの果てなのか――。
「……いいんですね、もう止まりませんよ」
射精後の脱力感など即座に打ち消されてしまったシュンの心身には、煮えたぎるほどの情欲が既に取り戻されていた。否、このような彼女を前にして、一息をついていられる雄など少なくともこの惑星には存在などしないだろう。
戦場では冷静さを保ち続けたまま、ともすれば非情と形容しても差支えのない戦いぶりを見せる彼女が今や、御伽噺や神話に登場する淫魔の如く乱れ続けるその様は、シュンの妄想で描いた絵空事よりも、ずっと強烈で、ずっと卑猥だった。
「ァ、んんん! シュン、きもち良いです……っ! もっと、深くまで来てください……。もっと激しく、私を求めてめちゃくちゃにして……ッ」
再び刻まれた律動、そして弾む乳房と彼女の嬌声。
夜毎にそれらは色濃さを増していき、やがては体位も対面座位のみに留まらず、彼女の未発達な乳房と表情、そして腹部から臍部までの素肌とそれを縁取る衣装のラインを贅沢にも一度に堪能することが出来る正常位や、大胆に開いた滑らかな背中、果ては律動のたびにひらひらと舞い上がるプリーツスカートの隙間から覗く臀部の隆起まで間近から堪能することが出来る後背位、最終的には衣装の全景及び、揺れる乳房を絶妙な角度から見上げることの出来る騎乗位に至るまでを一晩じっくりかけて心行くまで堪能したのである。
薄っすらと開いたカーテンの隙間から、一筋の鋭い陽光が無情にもシュンの閉ざした瞼を眩しく貫いた。
結局、空が白み始める明け方に至るまで二人はセックスに興じていた故、情事後からまだそれほど時間は経過していないだろう。本日が非番で心底良かったなと安堵しながら幾度かもぞもぞと寝返りを打ち、呑気にも、そして図々しくも上官の寝室にて二度寝を試みようとするシュンであったが、ほどなくしてそんなまどろみは跡形もなく打ち消される事となる。
「シュン、起きてくださいっ」
なにやら室外からぱたぱたと慌ただしい足音が近づいてきたなと思ったその矢先、らしくもなく冷静さを欠いた様子でレオナが勢いよく扉の向こうからなだれ込んできたのだ。
「ど、どうしたんです……?」
一体、何事かとベッドから跳ね起きたシュンが振り返ると――。
「谷間が……。谷間が、出来ていました……!」
最後まで着衣のままでいたとはいえ、激しい交わりの末に着乱れてしまった例の衣装を彼女は就寝前にすべて脱ぎ捨てていたはずなのだが、どうやら今朝がた、起床するなり再びそれに袖を通して自らの姿を念入りに姿見か何かで確認していたらしい。
その最中、どうやら念願の谷間を見事発見した様子であるが――まさかそんな事があり得るのだろうかと、半信半疑のシュンは寝ぼけ眼をごしごしと手の甲で擦りつつ、ベッドの上から身を乗り出して彼女の胸元へじっと視線を凝らしてみる。
爽やかな朝陽の元にも関わらず、その気高さ、美しさの中に入り混じった艶めかしさを損なわない衣装のシルエットの中、確かに彼女の言う通り、昨晩までは確認をする事が出来なかったささやかな細い陰を一筋観測する事に成功した。
金属生命体の装甲を模したような白いカップ部分の下、黒ビキニによって軽く持ち上げられた控えめな膨らみの最中、微かに影が落ちたその渓谷は紛れもなく――彼女が欲して止まなかった、胸の谷間というやつだ。
「あれほど食事に気を使ったり、トレーニングに勤しんだりしても変化のなかった私の胸がたった一晩で……。これもひとえに、貴方が私の女性ホルモン分泌を促してくれたお陰ですね。まさかここまで即効性があったとは、私も少々驚いてしまいました」
言いながら彼女は唖然とした様子で瞬きを繰り返すシュンの右手をそっと取り、それを自身の胸元――否、築き上げられたばかりの谷間へと導いてみせたのである。
「あ、あの……。レオナさん……?」
その薄暗い空間に指先を潜り込ませてみたい、あわよくば再びこの両手でそこを思う存分に揉みしだいてしまいたい。
――などという不埒な欲求が勢いよく渦を巻き始めた為、シュンは慌ててひと際大きな声を発することにより、隙あらば下半身に集中してしまいそうになる熱を散らそうと悪あがきを試みる。
「その、お力になれて良かったです! けど、朝からこういうのはちょっと、刺激が強すぎるというかなんというか……」
たちまち口調はしどろもどろに大きく揺らぎ、しかし視線の先は一点に縫い付けられたまま、シュンは性懲りもなく再び欲望の頭を擡げ始めてしまう。
まだそれほど最後の情事から時間が経過していないとはいえ、こんなにも爽やかな朝陽の中、股間を膨らませていてはさすがの彼女も機嫌を損ねるだろうか――などと不安を覚えたその矢先、シュンは信じられない光景を目の当たりにする。
「……っ、あの! 貴方がもし、嫌じゃなければなのですが」
彼女は自身の胸元にシュンの掌を押し付けたまま、あろうことかもじもじと露出した太腿をもどかし気に擦り合わせながら、潤んだ双眸にて劣情に再度支配されつつあるこちらの間抜けた面を見上げてみせた。
「昨日の続きを、また……。したい、です」
瞬間、シュンが思わず絶句してしまったのは強烈な悦びの為である。
「そのっ、朝からこんなお願いをするだなんて、はしたない事は承知しています! けど、貴方との交わりが忘れられなくて。それに折角こうして谷間も出来た事ですし……」
それにしても、眩しい日差しの下でこうして改めて眺めてみると、つくづく度し難い――否、彼女の魅力を引き立てるに相応しい衣装だと感嘆を零さずにはいられない。
締め切ったカーテンによって月光すら閉ざされた宵闇の中、薄暗い間接照明によって仄かに照らされる彼女の肌とそれを彩る衣装のラインも実に艶やかで美しかったが、爽やかで健康的な陽光を眩しく照り返す今の彼女も実に神々しく、言わずもがな煽情的な出で立ちだった。
堪らずシュンはそのまま彼女の細い腰を抱き込み、半ば強引につい先ほどまで自らが横たわっていたベッドの波へと彼女の肢体を引きずり込む。
勢いのまま組み敷き、改めてじっくりと彼女の胸元に目を凝らしてみると――。谷間が刻まれた、という部分以外にも視覚的変化が現れたような気がして、思わずごくりと息を呑んだ。
「……なんだか、昨日に比べて少しだけ胸が大きくなったような気がします」
これは決して、谷間が出現した事に浮かれる彼女を傷つけまいと口にしたお世辞などでは決してない。
目視のみならず、ビキニの上から両掌で改めてその場所を柔く包み込み、何度か揉み込んでみたのだが……。明らかに感触が昨夜のそれを若干異なっているように思えたのだ。
なんというか、張りと瑞々しさはそのままに、乳房自体がその柔らかさを一段と増しながら膨らんだような不思議な感覚だった。水風船だとか、低反発のテンピュールだとか、マシュマロだとか、様々な形容を当てはめてみようとはしたものの、これといって近しいものが見つからない。
まさにこの感触は唯一無二、彼女の乳房に触れた時だけに楽しむことが出来る極上の弾力と言えるだろう。
「改めて私の方でも調べてみたんですが、やはり女性ホルモンの分泌量が増えるとその分、乳腺が発達する故にバストサイズがアップするそうですよ。まあ、その……。セックスをしたからと言って、女性ホルモンが増えるというわけではないのですが」
曰く、セックスの快楽によって増幅される分泌は「ホルモン」ではなく「セトロニン」らしい。彼女が欲して止まなかった女性ホルモンとは全く別種の分泌物ではあるが、心身ともに満たされるシュンとの性交渉によって乱れがちであって自律神経が整い、結果的にホルモンバランスにも良い影響を与える事となった――という説が、今回の一件に関する彼女の見解らしい。
「つまり、私はこの谷間を維持する為にこれからも貴方と夜を共にしなければなりません。まあ、夜だけとは言わずに朝でも昼でもこちらとしては構わないのですが……」
淫らな本音が零れた瞬間、彼女はその頬を昨夜と同じく羞恥の紅へと染めながら、ンンッ、と照れ隠しの咳払いを一つ大袈裟に零してみせた。
「つまり! 貴方の愛撫なくして、私の谷間は保てないのです。だからこれからもどうか、私に女としての快楽を継続的に感じさせて欲しいと思っています」
言い回しは奇妙なまでに堅苦しかったものの、要するに彼女は折角刻むことが出来た谷間が二度と消えぬよう、これからもシュンと継続的にセックスがしたいと大胆にも懇願していたのである。
「ああっ、シュン……!」
よろこんで、だとか。こちらこそ宜しくお願いします、だとか――まずは言葉を以て返答すべきかと悩んだが、朝陽を受けて艶やかに煌めく彼女の肌と、そこにほんの僅か、魅惑の影を落として男を誘惑して止まない真新しい谷間を眺め下ろすうちに性欲の方が先走ってしまった。
了承の合図としてシュンは自らの掌を黒ビキニの内側に潜り込ませると、着衣はなるべく乱さぬようにと心掛けながら、直接その二つの膨らみを懇切丁寧に撫でまわし始める。
心なしか、乳頭の方も昨夜と比べて硬く大きく育っているような気もしたが、もしかするとそれは女性ホルモンによって肥大したというよりも、男性器と同じく性的興奮が作用した為に一時的な勃起を見せているのかもしれない。どちらにせよ、あまりにも淫らな感触だった。
「んんっ、ァ……。シュン、また貴方の唇や舌先で、私のすべてを溶かして下さい……!」
早くも悦楽に溺れつつあるのだろう。シュンの首に華奢な両腕を回して縋りつきながら、彼女はシーツの波間にてその魅惑の肢体を妖しくくねらせ、女としての悦びを欲してみせる。
「焦る必要などないとは分かっていますが……。でも、我慢できないんです……! 貴方に暴かれた性感帯が、どうしても疼いてしまって、もう私は……っ」
言いながら彼女はあろうことか、自らの下着を辛うじて隠していた例の黒い前掛けを、ひらりと摘まんでその中身を見せつけるように捲り上げてみせたのだ。
「……っ、う!」
律義にも彼女は下着も再び身に着けてはいたのだが、薄い布地越しにも割れ目がくっきりと浮かび上がっており、それが興奮の為か時折ひくひくと痙攣する様まで明確に観測してしまう。はらりと広がるプリーツスカートの裾や、乱れた呼吸と共に上下する肉付きの薄い下腹も含め、彼女の全身は今、男の欲望を――否、シュンの劣情を求めて強烈な誘惑を繰り出していたのだ。
「あああっ、ンンン! 熱くて、硬い……っ」
堪らず勃ち上がった自らの亀頭の先で下着越しに彼女の膣口を何度か擦ると、食虫植物を想起させるような仕草でそれは布地を隔てているにも関わらず、物欲しげに開閉を繰り返しながらシュンのペニスへあむあむとと吸い付いてみせる。
「覚悟して下さいね、レオナさん……。今日はもう一日中、貴女のことを解放してあげられないかもしれません」
言いながらシュンは艶めく彼女の唇を奪い、ほんの微かにその膨らみを増した乳房や、性的興奮に苛まれるとぷっくり膨れる大陰唇にも負けず劣らず柔い粘膜の感触を堪能しつつ、尽き果てることのない煩悩に溺れ、その日はまさに一日中互いの身体を求め続けたのであった。